
近年、建設業界においてM&A(エムアンドエー:企業の合併や買収)の件数が急激に増加しています。 「会社を買収される」と聞くと、「業績が悪くて身売りをする」といったネガティブなイメージを持つ方がいらっしゃるかもしれません。しかし、現在の建設業界で起きているM&Aの大半は、より前向きで戦略的な理由から行われています。
業界全体が歴史的な人手不足と「働き方改革」の波に直面する中、M&Aは企業が生き残るための有効な手段として注目されています。そして、この業界再編の動きは、転職を考えている求職者にとって「労働環境の改善(ホワイト化)」と「年収アップ」を実現するかつてないほどの大きなチャンスをもたらしています。
建設業界でM&Aが急増する理由

経営者の高齢化と後継者不足
最大の理由は、「経営者の高齢化と深刻な後継者不足」です。
中小企業庁が公表しているデータ(※参考:中小企業庁「中小企業・小規模事業者におけるM&Aの現状と課題」)を見ても、日本中の企業の経営者が高齢化する一方で、親族や社内に会社を引き継ぐ人材(後継者)がいない企業が急増しています。特に建設業界はこの傾向が顕著です。
長年地域に根ざし、黒字経営で安定した仕事があるにもかかわらず、「社長の引退とともに会社をたたむ(廃業する)」しかない建設会社が少なくありません。こうした優良な企業が、長年貢献してくれた社員の雇用と、長年培ってきた優れた技術を守るために、体力のある別の会社に会社を譲り渡す「事業承継(じぎょうしょうけい:会社を次の世代へ引き継ぐこと)型のM&A」が活発に行われています。
人材確保を目的とした買収
もう一つの大きな理由は、「人材の獲得」です。
建設業界は圧倒的な人手不足に陥っており、企業が求人を出しても、現場を回せる施工管理技士や熟練の職人を簡単に採用することはできません。 さらに、2024年4月から労働基準法に基づく「時間外労働の上限規制(残業時間の厳しい上限ルール)」が本格適用され、企業は短い時間で効率よく現場を回す必要があります。
そこで成長意欲の高い企業は、「時間をかけて採用や育成をするよりも、すでに技術と資格を持った社員がいる会社ごと買い取ってしまおう」という戦略をとっています。これを人材獲得目的のM&Aと呼びます。新しい仕事を受注するために、まとまった人数のプロフェッショナルを一気に確保できるM&Aは、企業にとって非常に合理的でスピーディーな手法なのです。
M&Aが転職市場に与える影響

「会社が買収されたり、合併したりする」という業界の激しい動きは、企業にとっては大きな試練ですが、転職を考えている求職者にとっては、実は圧倒的な追い風(売り手市場)となります。
労働環境のホワイト化が加速

「M&Aで他の会社に買収された企業へ転職するのは、少し不安があります…」



「その心配は無用です!むしろ、資金力のある中堅・大手企業の傘下に入ることで、最新のITツールが導入されたり、完全週休2日制が整備されたりと、労働環境が劇的にホワイト化するケースが非常に多いのです。優良企業を見極めれば、転職の大チャンスですよ!」
地方の中小建設会社が、資金力のある大手や中堅企業の傘下(グループ)に入ることで、労働環境は劇的に改善される傾向にあります。 親会社は厳しいコンプライアンス(法令遵守)を求められるため、グループ会社内で「サービス残業」や「休日出勤」といった古い慣習をそのまま放置することは絶対にありません。
売り手市場で高まる市場価値
M&Aによって規模を拡大し、新しいエリアや新しい事業(土木から建築へ、など)に挑戦しようとしている企業は、組織を力強く牽引できる優秀な人材をさらに求めています。
現場での実務経験や、「施工管理技士」「建築士」といった資格を持つ方の市場価値は、現在かつてないほど高まっています。M&Aで成長を続ける企業は、新しい風を吹き込んでくれる転職者に対して、高い基本給や充実した資格手当を用意して大歓迎してくれます。 ご自身のこれまでの経験を安売りせず、正当に高く評価してくれる企業を選ぶことで、年収の大幅なアップを確実に叶えることができます。
失敗しない優良企業の選び方


M&Aが活発で求人があふれる市場だからこそ、転職先の企業選びには慎重な見極めが必要です。自身のスキルを最大限に発揮して輝ける企業選びのコツを解説します。
IT投資と資格取得支援
転職先を選ぶ際に最も重視すべきは、「最新のITツールに積極的な投資を行い、業務効率化を本気で進めている企業」であるかどうかです。
M&Aで会社の規模が大きくなっても、現場の管理が昔ながらのアナログな手作業のままでは、社員の負担は増える一方です。スマートフォンで現場の写真をクラウドに保存できる「施工管理アプリ」や、パソコン上で建物を立体的に組み立てる「BIM(ビム:3Dモデルを使った設計技術)」などを導入している企業は、社員の負担を本気で減らそうとしています。 これにより、社員は無駄な事務作業から解放され、本来の専門業務に集中でき、定時で帰りやすいスマートな働き方が実現します。
また、「資格取得にかかる講習費用や受験料を会社が全額負担してくれる支援制度」の有無も、社員を大切に育てる企業かどうかを見抜く重要な指標となります。
エージェントで社風を見抜く
しかし、求人票の文字情報だけでは、その企業が本当にM&Aによるシナジー効果(相乗効果:お互いの強みを活かして大きな成果を出すこと)を発揮しているか、社内の雰囲気がギスギスしていないかを見抜くのは困難です。
こうした内部のリアルな情報を確認するためには、建設業界に特化した転職エージェントの活用が不可欠です。 エージェントは、企業の採用担当者や経営層と直接コミュニケーションを取っているため、実際の残業時間や、有給休暇の本当の取得率、買収後の社内の風通しの良さなどを詳細に把握しています。
実際、建設・不動産業界に特化した「ミライ建設ナビ」で取り扱っている求人には、安定した経営基盤を持ち、社員の働きやすさを全力で支援する優良企業が多数存在します。
企業向け:M&Aと採用戦略


M&Aによる規模拡大の限界
「人材不足をM&Aで解決する」という戦略は、即戦力を確保する上で非常に有効ですが、それだけでは限界があります。なぜなら、買収した企業の社員もいずれは高齢化し、定年を迎えるからです。企業が持続的に成長するためには、常に新しい人材(若手人材)を入れ続ける必要があります。
そこで重要になるのが、「特定技能(とくていぎのう:一定の専門性を持つ外国人向けの在留資格)」などを活用した外国人労働者の積極的な採用です。 厚生労働省が公表した最新の「外国人雇用状況の届出状況」を見ても、建設分野における外国人労働者数は年々著しく増加しています。(※参考:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」)
外国人材で組織をスマートに
初めて外国人採用を検討される企業様にとって、「言葉の壁によって現場のルールが伝わるか不安だ」と感じるかもしれません。しかし、特定技能の資格を持つ外国人は、一定の日本語能力と建設の専門知識を兼ね備えた優秀な人材です。登録支援機関などのサポートを受けながら適法に採用を進めれば、全く心配はありません。
むしろ、外国人材に安全な作業手順や現場のルールを教えるために、スマートフォンや動画マニュアル、翻訳ツールを使って「業務の見える化(ルール化)」を徹底するプロセスが生まれます。 実は、このように「外国人材にわかりやすくルールを教えるために整備した視覚的なマニュアルは、そのまま日本人の未経験者や若手社員にとっても、最も働きやすく、かつ短時間で成長できる最高の教育ツール(偶然の産物)になる」のです。
最新のITツールと多様な人材を掛け合わせ、誰もがフラットに意見を言い合い、効率的に活躍できる『次世代のスマートな建設現場(ダイバーシティ環境)』をいち早く構築した企業こそが、M&A時代を勝ち抜く勝者となります。
建設業界のM&Aまとめ
建設業界におけるM&Aは、経営者の高齢化に伴う後継者不足や、即戦力となる人材獲得を背景に、今後さらに加速していきます。この業界再編の動きは、労働環境のホワイト化を強く促し、求職者にとって自身の市場価値を最大限に高められる絶好のチャンスです。
求職者の方は、ご自身が培ってきた経験を最大の武器に、IT投資を惜しまず、社員の労働環境改善に本気で取り組んでいる優良企業への転職を目指してください。 そして企業様は、M&AやITツールの導入による事業拡大と並行して、外国人材(特定技能など)の積極的かつ柔軟な受け入れを進めることで、求職者に選ばれる魅力的なクリーンな環境を構築することが重要です。本記事でお伝えした最新の動向を踏まえ、ご自身のキャリアアップや貴社の持続的な成長にぜひお役立てください。
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