【7.7兆円市場】省エネ改修とリフォーム!断熱人材の採用と転職

「新築の受注が読みにくくなってきたので、リフォームを伸ばしたいが人がいない」「補助金を使った断熱改修の問い合わせが増えたのに、申請まで対応できる社員が限られている」。2026年に入り、こうしたご相談が目に見えて増えています。

このような課題を抱えていらっしゃる経営者様や人事担当者様は非常に多くいらっしゃいます。新築着工が伸び悩む一方で、住宅リフォームの市場は着実に拡大を続けています。背景にあるのが、国の補助事業に後押しされた省エネ改修の広がりと、団塊ジュニア世代の持家がちょうど改修の適齢期に入ってきたという人口動態の変化です。

しかし、リフォームは新築の延長線上で考えると足をすくわれます。求められる知識も、必要な人材像も、新築とは別物だからです。この記事では、いまのリフォーム市場の実態と省エネ改修をめぐる制度を整理したうえで、企業の採用と個人の転職にどう活かせるのかをお伝えします。

建設業界の転職ならミライ建設ナビ
目次

リフォーム市場はいま伸びている

2025年は7兆5,119億円、2026年は7.7兆円の予測

矢野経済研究所が2026年に公表した調査によれば、2025年の住宅リフォーム市場規模は7兆5,119億円で、前年比2.5パーセント増と推計されています。さらに2026年については7兆7,000億円、前年比1.9パーセント増が予測されています。

注目すべきは、市場が2年続けて拡大しているという点です。新築住宅の着工戸数が長期的に減少していくと見られているなかで、リフォームは数少ない伸びている領域です。人材を投じる先としての合理性が、数字の面からも裏づけられていると言えます。

もっとも、同じ調査では増改築工事が前年比で大きく減少する一方、設備の修繕・維持関連費用が増加したことも示されています。つまり市場全体の伸びは、大掛かりな増築ではなく、設備更新や部分的な改修の積み上げによって支えられている構図です。

伸びを支えるのは省エネ改修と工事単価の上昇

同調査では、市場拡大の要因として建築資材費や人件費の上昇による1件あたりの工事単価の上昇が挙げられています。加えて、窓の断熱改修を対象としたリフォームなど、政府の補助事業をきっかけに工事内容を拡充する動きが見られたとされています。

これは実務感覚とも一致します。窓の交換を検討していたお客様に対して、補助金を使えば断熱材の追加や給湯器の更新まで手が届く、という提案ができるからです。1件あたりの単価が上がることは、少ない人数で売上を伸ばせるということでもあります。

団塊ジュニア世代の持家が適齢期を迎えた

もうひとつの下支え要因が人口動態です。同じ調査では、団塊ジュニア世代の持家がリフォームの適齢期を迎えていることが需要を支えていると指摘されています。2000年前後に住宅を取得した層が、いま設備の更新時期に差しかかっているわけです。

この層は住宅ローンの返済が進み、子育ても一段落している世帯が多いという特徴があります。まとまった金額の改修に踏み切りやすい顧客層が、これから数年にわたって厚く存在するということです。採用計画を立てるうえでも、一時的なブームではなく構造的な需要として捉えておくのが妥当です。

住宅省エネ2026キャンペーンの中身

複数の事業で窓・給湯・リフォームを支える

省エネ改修を後押ししているのが、関係省庁が連携して実施している住宅省エネキャンペーンです。各事業の公表情報によれば、2026年の枠組みでは環境省の先進的窓リノベ2026事業、国土交通省と環境省によるみらいエコ住宅2026事業、経済産業省の給湯省エネ2026事業と賃貸集合給湯省エネ2026事業といった事業が並んでいます。

Point 2026年の主な事業と補助上限の目安
  • 先進的窓リノベ2026事業は最大100万円
  • みらいエコ住宅2026事業のリフォームは最大100万円
  • 同事業の新築は最大125万円
  • 給湯省エネ2026事業は定額でおおむね5万円から17万円

補助事業は予算の消化状況によって早期に締め切られることがあり、要件も年度ごとに変わります。上の数字はあくまで目安として捉え、実際の提案にあたっては各事業の事務局が公表している最新情報を必ずご確認いただくのが安全です。着工日が対象期間に入っているかどうかも、毎回の確認が欠かせません。

補助額の大きさが提案を変えた

窓の断熱改修だけで最大100万円という水準は、リフォームの意思決定を大きく変えました。これまで「そのうちやろう」で先送りされていた工事が、補助金があるうちにという理由で前倒しされるからです。

その結果、営業の会話も変わりました。設備の故障をきっかけに呼ばれた現場で、断熱や給湯まで含めた提案ができるかどうか。ここで一歩踏み込める担当者がいる会社と、言われた工事だけをして帰る会社とでは、1年間の売上に相当な差がつきます。

補助金前提の提案には申請実務がついてくる

ただし、補助金は提案するだけでは終わりません。事業者登録、交付申請、実績報告といった手続きが発生し、写真の撮り方や書類の様式にも細かなルールがあります。ここでつまずくと、受注はしたのに補助が下りないという最悪の事態になりかねません。

だからこそ、申請実務を確実に回せる人の価値が、この数年で急激に上がっています。施工ができる人よりも、申請まで見通して段取りを組める人のほうが採りにくい、という会社は珍しくありません。採用計画では、この役割を独立したポジションとして考えておくことをおすすめします。

既存住宅の改修で求められる知識

新築の省エネ基準と既存改修は前提が違う

2025年4月から、原則としてすべての新築建築物に省エネ基準への適合が義務づけられました。一方で、既存住宅のリフォームは、そのすべてが同じ義務の対象になるわけではありません。増築や改築などの場合に一定の扱いが定められているという整理であり、案件ごとに確認が必要だと理解しておくのが安全です。

実務で難しいのは、既存の建物が現行の基準を前提に建てられていないことです。壁の中に断熱材が入っていない、そもそも図面が残っていない、構造の状態が開けてみるまで分からない。新築のように計算どおりに進まない前提で計画を立てる力が求められます。

既存住宅向けの省エネ部位ラベルという仕組み

省エネ性能の見える化は、既存住宅にも広がっています。国土交通省の案内によれば、建物全体ではなく窓などの部位ごとの性能を示す省エネ部位ラベルが2024年11月から運用を開始しており、既存建築物についても表示が推奨されています。

改修した部分の性能を客観的に示せることは、営業上の強い武器になります。工事の価値を数字とラベルで説明できる会社は、価格競争に巻き込まれにくいからです。安いか高いかではなく、性能がどれだけ上がったかで比べてもらえる土俵に持ち込めます。

断熱改修は診断と施工品質で差がつく

断熱改修は、材料を入れれば効果が出るという単純な工事ではありません。気密が取れていなければ断熱材は本来の性能を発揮しませんし、結露を呼び込めば建物を傷めます。既存の状態を読み解いたうえで、どこから手をつければ費用対効果が高いかを判断する力が要ります。

NG 断熱改修で起きやすいトラブル
  • 気密処理を省いて断熱材だけ追加する
  • 部屋ごとに性能差をつくり結露を招く
  • 換気計画を見直さないまま気密だけ高める
  • 既存の劣化や雨漏りを確認せず仕上げてしまう

こうした判断ができる人材は、新築の現場だけを経験してきた方の中には多くありません。既存を扱える技術者は、リフォーム分野で長く必要とされ続けます。

採用と転職にどう活かすか

企業側|新築の人材とリフォームの人材は違う

新築部門の経験者をそのままリフォーム部門に配置して、うまくいかなかったという話は少なくありません。リフォームでは、居住しながらの工事、近隣への配慮、追加工事の説明と価格交渉といった、新築にはない場面が次々に発生するからです。

求めたいのは、技術力に加えてお客様と直接向き合って段取りを組み替えられる柔軟さです。設備工事や内装の経験者、あるいは住宅営業の経験者が、リフォーム現場で力を発揮する例は数多くあります。採用のターゲットを新築の施工管理経験者だけに絞らないことが、応募数を増やす近道です。

補助事業の申請業務は、社内では事務作業と見なされがちです。しかし実際には、要件を読み解き、工事内容を組み立て、期限から逆算して現場を動かす仕事です。ここを担える人がいるかどうかで、会社が取れる案件の幅が変わります。

Check リフォーム人材の求人票に書きたいこと
  • 戸建てか集合住宅か、1件あたりの工事規模
  • 営業から施工管理までどこを担当するか
  • 補助金申請を担当するかどうかと支援体制
  • 断熱・気密の工事をどこまで自社で手がけるか
  • 同時に担当する現場数と繁忙期の状況

とくに同時担当件数は、応募者が最も気にする項目のひとつです。ここを正直に書いた求人ほど、入社後の定着率が高いという傾向があります。

求職者側|リフォームは景気に強いキャリア

転職をお考えの方にとって、リフォーム分野には安定性という魅力があります。新築の着工戸数は景気や金利に左右されますが、既存の住宅は必ず古くなり、設備はいつか壊れます。需要がゼロになることがない領域です。

そのうえで、これからの差別化要因になるのが省エネです。断熱と気密の知識、補助事業の申請経験、性能を数字で説明する力。この3つがそろった方は、どの会社からも欲しがられる人材になります。未経験からでも、まずは補助金の要件を読み込むところから入っていけるのが、この分野のよいところです。

建設業界全体の人手不足の状況については、こちらの記事もあわせてご覧ください。

今のお気持ちを教えてください
完全無料 就活相談はこちらから!

まとめ

住宅リフォーム市場は2025年に7兆5,119億円、2026年は7兆7,000億円と予測されており、新築が伸び悩むなかで拡大を続けています。市場を押し上げているのは、工事単価の上昇と、窓の断熱改修をはじめとする政府の補助事業、そして団塊ジュニア世代の持家が改修の適齢期を迎えたという構造的な要因です。

一方で、リフォームに必要な人材像は新築とは異なります。既存の状態を読み解く技術、居住者と向き合う柔軟さ、そして補助金の申請を確実に回す段取り力。この3つを分けて考え、求人票にも具体的に書き込むことが採用成功の鍵になります。

転職をお考えの方にとっても、リフォームは需要がなくならず、省エネの知識を積むほど評価が上がる分野です。新築で培った技術も、営業で培った対話力も、この領域では無駄になりません。安定と成長の両方を求める方には、ぜひ一度検討していただきたい選択肢です。

お問い合わせ

リフォーム部門の人材採用や省エネ改修に対応できる体制づくり、キャリアのご相談など、お悩みがございましたらお気軽に下記のフォームよりお問い合わせください。貴社やご本人の状況に合わせて、実効性のあるご提案をいたします。



    目次