
「設備の職人が採れない」「有資格者が高齢化していて、指定の要件を満たせなくなりそうだ」。
このようなお悩みを抱えている経営者様や人事担当者様は、非常に多くいらっしゃいます。配管は完成すると壁や天井の中に隠れてしまうため、外からは仕事の内容が見えにくい職種です。その結果、求職者の候補に上がりにくいという構造的な不利を抱えています。
配管工は建物の「見えないインフラ」を担う

蛇口をひねれば水が出て、スイッチを入れれば冷暖房が効く。その当たり前を成立させているのが配管です。
給排水・給湯・空調・ガス、扱う配管は一つではない
建物の中を走る配管には、給水、排水、給湯、冷温水、冷媒、蒸気、ガス、消火など多くの系統があります。材質も、塩ビ管、ステンレス鋼管、銅管、被覆鋼管、ポリエチレン管と幅広く、系統ごとに接合方法も施工上の注意点も異なります。
また、配管は数センチのずれが仕上がり全体に響く仕事でもあります。勾配が足りなければ排水は流れず、支持金物の間隔を誤れば配管はたわみます。目に見えないところほど寸法に厳密であるという点は、経験の浅い方にこそ伝えておきたい部分です。
建築配管とプラント配管は別の世界
国家検定である技能検定でも、配管職種は作業ごとに区分されています。中央職業能力開発協会の受検案内によれば、建築配管作業、プラント配管作業、厨房設備施工作業が実施されています。
- ✓建築配管作業…住宅・ビルの給排水衛生設備や空調設備。1級・2級・3級
- ✓プラント配管作業…工場・発電所などの産業設備の配管。1級・2級
- ✓厨房設備施工作業…業務用厨房まわりの設備。1級・2級
建築とプラントでは、扱う圧力も配管径も現場の文化も異なります。求人票に「配管工」とだけ書くと、応募者は自分の経験が通用するかを判断できません。
図面どおりに納まらない現場で、順番を決める力
天井内という限られた空間には、ダクト、電気配線、スプリンクラー、そして配管が同時に通ります。設計段階の図面だけでは干渉が避けられないことも多く、現場での調整が必要になります。
どの系統を先に通し、どこで振るか。この判断ができる職人は、他職種を含めた工程を動かせる人材として扱われます。近年はBIMによる事前の干渉チェックも進んでいますが、最終的に納めるのは現場の手です。
この調整力は、若手がベテランに追いつきにくい部分でもあります。だからこそ会社としては、図面を読む時間と他職種と話す機会を意図的に与えることが育成になります。手を動かすだけの配置を続けていると、いつまでも一人前になりません。
配管の仕事は資格が要る場面が多い

配管工の資格は、本人の技能を示すだけでなく、会社が仕事を受けるための要件になっている場合があります。
給水装置工事主任技術者は会社の指定に必須
給水装置工事主任技術者は、水道法に基づく国家資格です。公益財団法人給水工事技術振興財団によれば、この試験は国土交通大臣及び環境大臣(令和5年度までは厚生労働大臣)が実施する国家試験とされています。
重要なのは、この資格が給水装置工事事業者が水道事業者から指定を受けるために必須だという点です。つまり有資格者がいなければ、会社として給水装置工事を請け負えません。
- ✓受験資格は、給水装置工事に関して3年以上の実務経験
- ✓工事計画の立案、現場監督、施工管理、配管作業などが実務経験に該当する
- ✓物品搬送などの雑務、給与計算などの庶務は実務経験に含まれない
- ✓1級・2級管工事施工管理技術検定の合格者は一部科目が免除される
ガス溶接・酸素欠乏など、作業ごとの資格も必要になる
配管の現場では、作業内容に応じて個別の資格が求められます。ピットや槽の内部で作業する場合は、労働安全衛生法施行令第6条第21号により酸素欠乏危険作業主任者の選任が必要です。
これらの資格は一つひとつは短期間の講習で取得できるものが中心です。だからこそ、入社後の早い段階でまとめて取らせておくと、配置できる現場が一気に広がります。
管工事施工管理技士は17歳から受検できるようになった
国土交通省の資料によれば、令和6年度から施工管理技術検定の受検資格が変わり、1級の第一次検定は19歳以上、2級の第一次検定は17歳以上(いずれも受検年度末時点)であれば受検できるようになりました。
第二次検定には実務経験が必要で、2級は2級第一次合格後3年以上(1級第一次合格後であれば1年以上)、1級は1級第一次合格後5年以上などが定められています。技能職として入社した若手が、早い段階で施工管理側の資格に挑戦できる制度になったとお考えください。
資格でキャリアと収入の伸び方が変わる

配管は経験の幅が広い職種です。何ができるのかを客観的に示せるかどうかで、評価は大きく変わります。
配管技能士は建築配管とプラント配管で分かれる
技能検定に合格すると技能士と称することができます。中央職業能力開発協会によれば、受検に必要な実務経験は原則として1級が7年以上、2級が2年以上です。建築配管作業には3級があり、実務経験がなくても受検できます。
3級が用意されていることは、育成の入口として大きな意味を持ちます。入社1年目の若手にも目標を設定でき、早い段階で成功体験をつくることができます。
なお、プラント配管は圧力や温度の条件が厳しく、溶接の技量が直接問われる領域です。建築配管から入った職人がプラントへ移る、あるいはその逆という形で、キャリアの幅を広げることもできます。

「配管ができます」より「1級配管技能士です」のほうが、元請にも求職者にも一瞬で伝わります。
CCUSのレベル評価で経験を数字にする
建設キャリアアップシステム(CCUS)では、就業日数・保有資格・職長経験から技能者を4段階で評価します。レベル1が白、レベル2が青、レベル3がシルバー、レベル4がゴールドのカードとなり、レベル4は高度なマネジメント能力を有する技能者と位置づけられています。
国土交通省の資料では、令和8年6月30日時点の判定件数はレベル4が68,952件、レベル3が48,724件、レベル2が55,251件です。能力評価基準は50分野で策定されており、配管もその対象に含まれます。


登録配管基幹技能者は4,261名
登録基幹技能者は、現場で職長をまとめる立場の技能者を認定する制度です。建設業振興基金によれば、受講資格は実務経験10年以上かつ職長経験3年以上とされています。
同基金の公表値では、令和8年3月31日現在の登録配管基幹技能者は4,261名、全種目の合計は91,598名です。経営事項審査でも加点対象となるため、企業にとっては受注面の価値も持ちます。
また、登録基幹技能者はCCUSのレベル4に相当する資格として扱われます。技能職として入社した方が到達できる、ひとつの明確なゴールとしてお示しいただけます。
配管工を採用・育成するために企業がすべきこと


配管は仕事の中身が外から見えにくい職種です。だからこそ、言葉にして伝える努力が採用の成否を分けます。
「配管工」という言葉だけでは検索されない
求職者が使う言葉は、必ずしも業界の用語と一致しません。設備、空調、給排水、水道、プラントなど、仕事の対象がわかる言葉を求人票に併記するだけで、届く範囲が変わります。
- ✓主に扱う工事(新築/改修/メンテナンス、建築設備/プラント)
- ✓屋内作業と屋外作業の比率
- ✓出張・宿泊を伴う現場があるかどうか
- ✓資格取得支援の範囲(受検料・講習費・合格時の手当)
職種名に加えて、その会社が何をつくっているのかを書くことも有効です。「病院の設備を担当しています」「データセンターの冷却配管を手がけています」といった一文は、求人票の中で最も読まれる部分になり得ます。
資格が会社の売上に直結することを、本人に伝える
給水装置工事主任技術者は、会社が指定を受けるための要件です。つまり、この資格を取ることは本人の評価だけでなく、会社が受けられる仕事の範囲を広げることを意味します。
仕事が途切れにくいという安定を訴求する
配管は新築だけの仕事ではありません。改修、更新、メンテナンス、故障対応と、既存の建物がある限り仕事が発生し続けます。新築着工が落ち込む局面でも、需要が急にゼロにはならない職種です。
求職者、特に他業種からの転職を考えている方にとって、この景気に左右されにくい安定性は大きな訴求点になります。技能と資格が積み上がるほど食いはぐれないという構造を、具体的に説明してください。
あわせて、設備工事は屋内作業の比率が高い点も伝える価値があります。天候に左右されにくい働き方は、他の技能職と比べたときの明確な違いです。
とはいえ、設備系の職種は企業間の競争も激しく、求人媒体だけでは母集団が集まらないことも多くあります。配管のように資格要件が絡む職種では、職種を理解している人材紹介の力を借りることが近道になる場合があります。
まとめ
配管工は、建物の中で水と空気の道をつくる職種です。完成すれば見えなくなる仕事ですが、止まれば建物そのものが使えなくなります。
そして配管は、給水装置工事主任技術者のように資格が会社の営業要件そのものになる分野を含んでいます。有資格者の確保は、採用活動であると同時に事業継続の問題です。
採用の場面では、見えない仕事を見える言葉にすることが第一歩になります。何を扱い、どの資格でどこまで行けるのかを示せる会社に、人は集まります。
- ✓配管職種の技能検定は建築配管・プラント配管・厨房設備施工に分かれる
- ✓給水装置工事主任技術者は指定給水装置工事事業者の指定に必須。実務3年以上で受験可
- ✓ピット内などの作業には酸素欠乏危険作業主任者の選任が必要(令第6条第21号)
- ✓管工事施工管理技士は令和6年度から2級第一次が17歳以上で受検可能に
- ✓登録配管基幹技能者は実務10年・職長3年から。令和8年3月末で4,261名
資格は、職人にとっては収入の根拠に、企業にとっては受注の根拠になります。取得の順番を先に描いておくことが、結果として採用と定着の強さにつながるとお考えいただければと思います。
お問い合わせ
ミライ建設ナビでは、建設業界に特化した人材のご紹介と、採用・定着のご支援を行っております。配管工をはじめとする設備系技能職の採用でお困りの経営者様・人事担当者様は、下記よりお気軽にご相談ください。



