【造園工】維持管理が主戦場に!資格とキャリア・採用の全戦略

「造園の職人が高齢化していて、技術が受け継がれない」「公園の維持管理の仕事は増えているのに、人手が足りない」。

このようなお悩みを抱えている経営者様や人事担当者様は、非常に多くいらっしゃいます。国土交通省の資料によれば、建設業の就業者数は令和6年平均で478万人、うち技能者は296万人です。ピークだった平成9年の685万人からおよそ3割減り、55歳以上が36.6%を占める一方で29歳以下は11.9%にとどまっています。

一方で造園は、つくる仕事から、維持する仕事へと主戦場が移りつつある分野です。全国の都市公園は令和7年3月31日現在で115,917箇所、面積は約131,243haに達しています。本記事では、この構造と資格によるキャリア、採用の打ち手を整理してご説明いたします。

建設業界の転職ならミライ建設ナビ
目次

造園の仕事は「つくる」から「保つ」へ移っている

公園も緑地も、つくった後のほうが長い時間が続きます。

植えた木は毎年伸び、毎年形を変えます。完成がゴールではなく、完成してから何十年も手を入れ続けるという点で、造園は他の建設工事とは時間の流れ方が違います。

都市公園は全国に115,917箇所

国土交通省の資料によれば、都市公園等のストックは令和6年度末(令和7年3月31日現在)で箇所数115,917箇所、面積約131,243ha、一人当たり約11.0㎡です。前年度からも箇所数・面積ともに増えています。

これだけの数の公園が存在すれば、樹木の剪定、芝生の管理、遊具や園路の点検といった維持管理の仕事は絶えず発生します。新設の予算が縮んでも、管理の仕事はむしろ増えていくという構造です。

加えて、街路樹や公共施設の植栽、学校や病院の庭、マンションの共用緑地と、管理の対象は公園だけではありません。緑がある場所の数だけ仕事があるとお考えください。

公園施設の老朽化対策も国の施策になっている

国土交通省都市局公園緑地・景観課は、公園施設の老朽化対策として公園施設長寿命化計画策定指針(案)を策定しており、令和7年3月に改定版が示されています。

また、同課はグリーンインフラの推進にも取り組んでおり、令和6年6月には「緑の基本計画×グリーンインフラガイドライン(案)」が示されています。緑を災害対策や環境対策の基盤として捉える考え方が、行政の側から広がっています。

雨水を一時的に貯める緑地、ヒートアイランドを和らげる樹木、災害時の避難場所となる公園。緑を「あったらいい景色」ではなく「必要な機能」として扱う流れは、造園業の位置づけそのものを変えつつあります。

建設業許可の「造園工事業」

国土交通省の資料によれば、造園工事業の工事の内容は「整地、樹木の植栽、景石のすえ付け等により庭園、公園、緑地等の苑地を築造し、道路、建築物の屋上等を緑化し、又は植生を復元する工事」とされています。

例示には植栽工事、地被工事、景石工事、公園設備工事、園路工事、屋上等緑化工事、緑地育成工事が含まれます。建物の屋上や壁面を緑化する工事も造園の守備範囲です。

つまり造園工事業は、植物を扱う工事と、園路や広場といった土木に近い工事の両方を含みます。会社によって主力がどちらかに寄るため、求人票では具体的な工事内容を書く必要があります。

造園には3級技能検定という明確な入口がある

多くの技能職が入口の資格を持たないなかで、造園は制度が整っている側の職種です。

造園技能士は1級・2級・3級

中央職業能力開発協会の受検案内によれば、技能検定「造園」の作業名は造園工事作業で、1級・2級・3級が実施されています。しかも造園は前期・後期の両方で実施される、数少ない職種のひとつです。

Check 造園技能士の受検の目安
  • 3級…実務経験がなくても受検でき、在学中の学生も対象になる
  • 2級…実務経験2年以上
  • 1級…実務経験7年以上
  • 前期・後期の両方で実施されるため、受検の機会が多い

受検機会が年に複数回あることは、育成計画を組むうえで大きな利点です。入社の時期にかかわらず、その年のうちに一度は挑戦させられるという点は、他の職種にない強みです。

造園施工管理技士も17歳から受検できるようになった

国土交通省の資料によれば、令和6年度から施工管理技術検定の受検資格が変わりました。この改正は造園施工管理も対象で、1級の第一次検定は19歳以上、2級の第一次検定は17歳以上(いずれも受検年度末時点)であれば受検できます。

第二次検定には実務経験が必要で、1級は第一次検定合格後5年以上(特定実務経験1年以上を含む場合は3年以上)、2級は第一次検定合格後3年以上などが定められています。なお令和6年度から令和10年度までは経過措置期間とされ、旧受検資格と新受検資格の選択が可能です。

高校を出て入社した若手が、実務経験を積む前に学科部分だけ先に取れるようになりました。採用の場面では具体的な訴求材料になります。

樹木医という専門職への道もある

樹木医は一般財団法人日本緑化センターが認定する資格で、平成3年度に発足しました。かつては農林水産大臣の認定を受けていましたが、その制度は平成12年度末で廃止され、現在は同センターの公益事業として実施されている民間資格です。

受験資格となる業務経験年数は一般が5年、樹木医補が1年です。同センターによれば、この年数は令和5年度からそれまでの7年を5年に短縮したとされています。到達までの年数が縮んだことで、目指しやすくなっています。

樹木医は、天然記念物の巨樹や神社仏閣の古木の診断にも関わります。造園の技能を土台にしながら、診断と治療という別の専門性へ進む道がある点は、この職種の奥行きを示しています。

経験を評価する仕組みも整っている

技能検定に加えて、経験そのものを数字にする制度があります。

CCUSでは「造園」が能力評価の対象分野

建設キャリアアップシステム(CCUS)では、就業日数・保有資格・職長経験から技能者を4段階で評価します。レベル1が白、レベル2が青、レベル3がシルバー、レベル4がゴールドのカードとなり、レベル4は高度なマネジメント能力を有する技能者と位置づけられています。

国土交通省の資料では、令和8年6月30日時点の判定件数はレベル4が68,952件、レベル3が48,724件、レベル2が55,251件です。能力評価基準は50分野で策定されており、造園もその対象に含まれます。

登録造園基幹技能者は2,682名

登録基幹技能者は、現場で職長をまとめる立場の技能者を認定する制度です。建設業振興基金によれば、受講資格は実務経験10年以上かつ職長経験3年以上とされています。

同基金の公表値では、令和8年3月31日現在の登録造園基幹技能者は2,682名、全51種目の合計は91,599名です。経営事項審査でも加点対象となるため、企業にとっては受注面の価値も持ちます。

公共工事の比率が高いという特性

公園や街路樹の管理は、多くが自治体からの発注です。指名や総合評価の場面では、配置できる技術者の資格が評価されます。有資格者の数が、そのまま受注の可能性を決める構造は、造園でも同じです。

年度ごとの契約が中心となるため、継続して受注できるかどうかが経営の安定に直結します。技術者を揃えて評価点を確保しておくことは、その備えでもあります。

「庭がつくれます」より「1級造園技能士と1級造園施工管理技士です」のほうが、発注者にも求職者にも一瞬で伝わります。

造園の人材を採用・育成するために企業がすべきこと

造園は、他の技能職とは違う動機で人が集まる職種でもあります。

「植物を扱う仕事」という魅力を正面から出す

造園は、建設業のなかで唯一、生き物を扱う職種です。剪定の時期、樹種ごとの性質、根の張り方。覚えることが尽きないという点は、学ぶことが好きな人にとって大きな魅力になります。

同じ樹種でも、日当たりや土質によって育ち方が変わります。マニュアルどおりにいかないことが多い反面、経験がそのまま判断力として積み上がっていく職種でもあります。

Check 求人票に書くと効くこと
  • 主な仕事(公園の維持管理/個人邸の庭/街路樹/屋上緑化)
  • 公共工事と民間工事の比率
  • 繁忙期と閑散期、冬場の仕事の内容
  • 資格取得支援の範囲(受検料・講習費・合格時の手当)

3級技能検定を1年目の目標にする

造園の3級は実務経験を問わず受検でき、しかも前期・後期の両方に実施されます。入社1年目の到達目標として設定しやすいという点は、他の職種にない利点です。

工業高校や農業高校、造園系の専門学校との接点を持っておくことも有効です。在学中に3級を取った学生は、入社時点ですでに一段階進んだところから始められます。

その後は2級技能士、2級造園施工管理技士、職長・安全衛生責任者教育、1級技能士、1級造園施工管理技士、登録造園基幹技能者と段階を引くことができます。この道筋を紙にして見せられる会社は、それだけで差がつきます。

加えて、高所作業車運転技能講習や刈払機取扱作業者の安全衛生教育など、実務で必要になる講習も早めに受けさせておくと、任せられる現場が広がります。

維持管理の比率を、安定として語る

新設の造園工事は予算に左右されますが、公園の維持管理は毎年発生します。全国に115,917箇所ある都市公園がある限り、仕事が途切れにくいという説明ができます。

また、剪定や除草には時期があるため、仕事の波がある程度予測できます。年間の工程が読める職種は、働く側にとっても生活の計画が立てやすいという利点があります。

また、公園施設の長寿命化が国の施策として進められていることも、中長期の安定を裏づける材料になります。景気の話ではなく制度の話として語れる点が強みです。

とはいえ、伝える相手に届かなければ始まりません。造園のように専門性が高く母集団の限られた職種では、求人媒体だけでなく、職種を理解している人材紹介の力を借りることが近道になる場合があります。

今のお気持ちを教えてください
完全無料 就活相談はこちらから!

まとめ

造園は、新設から維持管理へと主戦場が移っている職種です。全国115,917箇所の都市公園と、国が進める公園施設の長寿命化。仕事の土台が制度によって支えられています。

そして造園は、技能検定に3級があり、しかも年に複数回受検できるという、入口の制度が整っている数少ない技能職でもあります。この利点を活かせるかどうかは、会社の育成設計次第です。

Point この記事の要点
  • 都市公園は115,917箇所・約131,243ha(令和7年3月31日現在)
  • 技能検定「造園」は1級・2級・3級。前期・後期の両方で実施される
  • 造園施工管理技士も令和6年度から2級第一次が17歳以上で受検可能に
  • 樹木医は民間資格。受験に必要な業務経験は令和5年度から7年→5年に短縮
  • 登録造園基幹技能者は令和8年3月末で2,682名

資格は、職人にとっては収入の根拠に、企業にとっては受注の根拠になります。3級から始まる道筋を先に描いておくことが、結果として採用と定着の強さにつながるとお考えいただければと思います。

お問い合わせ

ミライ建設ナビでは、建設業界に特化した人材のご紹介と、採用・定着のご支援を行っております。造園工をはじめとする技能職の採用でお困りの経営者様・人事担当者様は、下記よりお気軽にご相談ください。



    目次